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東京発−天童経由−マロスティカ行き 平成19年1月

東京都 三浦康子さん

「本当に今日なの?」と私たちは顔を見合わせたほどマロスティカの街は静かでした。2006年9月8日。カステッロ広場も数時間後に「人間チェス」のお祭を控えているのにのんびりとした雰囲気です。パウゾリーニの丘を見上げると、お城の旗が風にそよぎ、そのなだらかな稜線を包むように城壁がカステッロ広場まで続いているのがわかります。お土産のチェスの駒を探しながら街を歩いてみましたが、観光バスや旅行者にも行き交わず、街全体が「ゆる〜い」感じです。結婚式があるのか教会の広場でドレスアップした若者たちがふざけあっています。すれ違う街の人々は健康的で美しい人ばかりです。「人間チェス」のお祭を示すものとしてポスターが貼っていますが数は少なく、他は商店のウインドウにそれぞれ変わったチェスの駒を飾ってあるのが目に付くくらいです。記念グッズも絵葉書や切手しかなく、チェスセットを売っている店も数件しかありません。

 しかし、ショウの始まる時間が近づいてくると、広場の周りのBARはどこも人であふれ、昼間の静けさが嘘のようなにぎわいです。少し前に買い物をした店の主人もBARに座ってワインを飲んでいます。人もどんどん増え、みんなウキウキした表情をして入場口に並び始めました。すると、先ほどから気になっていた空模様が一変して、突風と横殴りの雨が襲ってきました!!皆が「中止では?」と不安になりましたが、私はなぜか「絶対に大丈夫!」と信じていました。会場は水浸しになりましたが、1時間遅れて小雨の中で始まりました。800人の市民が参加するショウは想像をはるかに超える壮大さで、この小さな街がこのようなスケールの大きいお祭をすることに驚きました。チェスが趣味で「人間チェス」を見るために企画した今回の旅行です。試合が始まると感動と興奮で、付けていた棋譜の中盤がメチャメチャで、日本に帰ってから完成するのに苦労しました。

 マロスティカは言葉では言い尽くせないほど素敵な街です。この美しさを皆に教えたいような、一方で自分だけのものにしておきたいような…複雑な気持ちです。

 さて、なぜタイトルが「天童経由」なのかというと、2005年の暮れに「人間チェス」の情報を天童市に尋ねたところ、その日のうちに担当の方から返事が届きました。丁寧に応対していただき東京の私たちもホッとしたところです。何度かメールをやり取りするうちに天童にも興味を持ち、天童の「人間将棋」を見ずして、マロスティカの「人間チェス」を語るにあらず、とばかりに4月の「人間将棋」を観に行き、楽しんできました。担当の方にもお会いして、天童に来ていたマロスティカのベルタッツオ市長夫妻にお会いして写真を撮る機会をつくっていただきました。そのような経過があって、私たちは9月8日のお祭に向けて出発しました。当日、カステッロ広場で天童からの親善大使である中野るり子さんに声を掛けられました。もちろん初対面ですので、驚きました。市の担当者から私たちの写真を託されたとのことで、イタリア語が堪能な中野さんからは「困った時の窓口に」との嬉しい配慮をいただきました。また、市長さんにも再会し(思い出してくださったのか?)ショウの後のホテルに帰る車を手配してくださいました。ロベルト・クサウザさんにはお城や街を案内していただいたり、ショウの後にはカリオさんも加わり軽い食事とともにお祭の話などを聞くことができたりと楽しい時を過ごしました。

 マロスティカのような美しい街は他にもたくさんあると思いますが、今回の私たちは天童市の担当者を始め、中野さんやマロスティカの人たちのさりげない気配りを受け、またその人柄に触れたことで、マロスティカと天童とそれぞれの街の美しさだけでなく、心に残る素晴らしいものを感じる旅行ができたのだと思います。



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